【個人事業主向け】屋号付き口座って必要なの?注意点は?「屋号付き口座 vs 個人名口座

あさがお

事業を始める時に考えておかないといけないことが、銀行口座の開設です。

屋号付き口座の存在は知っていても、

実際メリットがあるのかよく分からない創業者は多いと思います。

今回はそんな屋号付き口座のメリットやデメリットを簡単に解説します。

■はじめに

まず、重要なので、大前提のお話をしておきます。

個人事業の場合、今個人でお持ちの銀行口座を事業用として使っても基本的に問題はありません。

ただし、きちんと分けることを強くお勧めしています。

理由は、3つあります。

事業用の口座とプライベート口座を分けた方が良い理由

①お金の把握のため

事業でのお金の入と出を一つの箱の中でやらないと、残高を含めたキャッシュ・フローが把握できないからです。
残高が増えた・減った理由が、事業によるものなのか、プライベートによるものなのかは明確に分けるべきだと思います。

②記帳の手間を省くため

記帳の際、関係ない私用部分についても、事業主貸としての処理が必要になります。
経費にならない以上節税にもならず、手間だけがかかるこの処理は極力省いた方が良いと思います。

③税務調査対策のため

税務調査の際、関係ない私用部分についても、事業用の口座に出てくるのであれば一緒に見られてしまうことになります。
事業とプライベートが混ざっている印象を持たれる可能性が高くなりますので、分けた方が良いと思います。

なお、②と③は、銀行口座だけでなく、クレジットカードについても同様になります。

きちんと事業用とプライベート用を分けることを心掛けましょう。

■結論:屋号付き口座を作った方が良い

では、事業用口座はきちんと作るとして、今回の本題である名義のお話です。

つまり、個人名で銀行口座を作った方が良いのか、屋号付きで銀行口座を作った方が良いのかという問いです。

結論から言うと、「屋号付き口座を作った方が良い」と私は思います。

実際に私も作っています。

理由は、以下のようなメリットがあると思うからです。

屋号付き口座のメリット

①お客様に信頼感を与えられる

事業用の銀行口座は、請求書の振込先として、お客様にお出しする情報の一つです。
お金を振り込むお客さんの立場に立った場合、個人名よりは屋号付きへの振込の方が、
"事業感"や"信頼感"を付与できると思うからです。

②屋号をブランド化にすることができる

屋号を全面に出していくことで、ブランド化することができます。
個人名を控えたい場合や隠したい場合にも有効になります。

屋号付き口座のメリット①:お客様への信頼感・事業感の付与について

一つ目の理由ですが、あくまでお客様に与える印象の部分ですが、少なからず影響はあるように思います。

やはり、振込先が個人名でなく屋号となっていると、事業としてきちんとしている印象を持たれます。

法人でなくとも、趣味とは切り分けてきちんと事業をしているというアピールになると思います。

特に、直接お客様に顔を出さないネットショップなどの場合は、そのような部分を整えておくことはとても重要だと思います。


屋号付き口座のメリット②:屋号のブランド化について

二つ目の理由ですが、屋号を銀行口座含めて積極的に使っていくことで、屋号のブランド化を進めることができます。

例えば、お客様がお金を振り込んだ後も、通帳の印字には、個人名ではなく屋号から始まる言葉が残ります。

これらを通じて、相対的に個人名の登場頻度が減ってきます。

特に、個人情報の観点からなるべく個人名を出したくない女性や副業者などの場合は、メリットがあるように思います。

なお、屋号付き口座は、通常「屋号+個人名」を求められますが、
ゆうちょ銀行の場合は、「屋号」だけでの銀行口座作成が可能なので、完全に氏名を隠したい場合はおススメです。

□参考
個人商店の屋号名で振替口座を開設できますか。 | よくあるご質問 | 株式会社ゆうちょ銀行 (japanpost.jp)

■屋号付き口座の注意点

一方で、いくつか気を付けておいた方が良い点もあります。

具体的には、以下のようなデメリットがあります。

屋号付き口座のデメリット

①一部、引落などに対応していないものがある

個人名義のクレジットカードや、小規模企業共済振替納税などは、屋号付き口座は引落先として登録できないことがあります。

②確定申告書の還付口座として使えない可能性がある

確定申告書の還付口座としての登録も、屋号付き口座は還付先として登録できないことがあります。

屋号付き口座のデメリット①:一部の引落への非対応について

一つ目の理由ですが、個人名のクレジットカードや小規模企業共済、振替納税など、一部のサービスで屋号付き口座だと引落手続の登録ができないことがあります。

実際に、私は三井住友カードなのですが、個人名義でのクレジットカードを事業用として使おうとしたのですが、それを屋号付き口座で引落の登録をしようとしたところ、NGが出ました。

結果として、事業用のクレジットカードを新たに作ることで、屋号付き口座からの引落ができました。

また、個人事業で定番の節税手法である小規模企業共済についても、注意が必要です。

申込書の書き方に、屋号付き口座NGとの文言が記載されています。

結果として、小規模企業共済は、別の個人口座にて引落をすることになります。

なお、振替納税(税金の引落手続き)についても、記載はありませんが、一部では対応していない銀行があるようです。

屋号付き口座のデメリット②:確定申告還付口座への非対応について

二つ目の理由ですが、屋号付き口座では確定申告の還付口座としての登録ができないことがあるようです。

下記、国税庁HPを抜粋して掲載します。

国税庁HP Q&A 41

Q41 還付金の受取りに預貯金口座への振込みを希望する場合、注意することはありますか。
A 預貯金口座の口座名義について
還付金の振込みに指定できる預貯金口座は、申告者ご本人の口座に限られます。
(注) 預貯金口座の名義については、ご本人の氏名のほかに店名、事務所名などの名称(屋号)が含まれる場合、振込みできないことがありますので、ご本人の氏名のみの口座を指定してください。
 また、旧姓のままの名義である場合には、振込みができませんので、ご注意ください。

(引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/11.htm

先程の振替納税もそうですが、100%NGとは断言されていませんので、税務署や銀行によっても対応が異なることがありそうです。

屋号付き口座を税金の受取や引落で使う場合には、念のため所轄の税務署に確認してからの方が確実かと思われます。

■まとめ

あさがお

いかがだったでしょうか?

今回は、屋号付き口座のメリットとデメリットについて解説させて頂きました。

では、今回のまとめです。

今回のまとめ

屋号付き口座は、お客様への信頼感屋号のブランド化というメリットがあるのでおススメ

ただし、一部の引落や還付などに対応していないというデメリットがあるので注意して作りましょう。

この記事を書いた人

あさがお税理士事務所 代表税理士 伊藤貴文

税理士 / 栃木出身 / 埼玉在住 / 東京勤務 / 3児の父

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