いくら銀行から借りた方が良いの?「借入額の判断基準」
創業者などから、
銀行から借入をする場合いくらを希望額にすれば良いの?
との質問を良く受けます。
今回は、そんな借入額についての考え方を解説します!
■まずは借入の必要額を決めよう
まず、借入を申し込む際に、2種類の方法があります。
一つは、借入をして何を購入するのかが決まっている場合の「設備資金」です。
これは、「設備の見積額=借入額+自己資金」になるので、考える余地はあまりないでしょう。
もう一つが、通常経費等への「運転資金」です。これは、通常のランニングコストのための借入なので、借入額に正解がありません。
だからと言って借りれるだけ借りてしまえ!という発想はNGです。当然ながら借りたお金は返さないといけないからです。
実際には、月々のランニングコストを見積り、その何か月分とするのが合理的です。
「ランニングコストの何か月分が必要か?」という論点は専門家でも人それぞれの答えが返ってきますが、
一つ私なりの基準を示すのであれば、「仮に売上が減少してきた場合、どれくらいで立て直す目途がつきますか?」です。
3か月という人もいれば、半年という人もいるでしょう。業種や業態によっても答えが異なると思います。
売上が下がってきてからいざ融資で凌ごうとしても、評価が下がって融資が下りないといった事態も考えられます。融資を急いでも、最低でも1~2か月はかかります。
ちなみに、日本政策金融公庫の動画では、事業が軌道に乗り、黒字化するまでには平均7か月以上かかるとあります。
個人的には、6か月分のランニングコストは欲しいと考えています。
その6か月分のランニングコストから現在の手元資金を引いた残りが、借入必要額だと私は考えます。
従業員のお給料や家賃等、事業のランニングコストが月100万だとするならば、600万は手元に欲しいということです。
手元資金が現実に200万しかないのであれば、足りない400万が借入必要額の目安になるということです。
まとめ
借入必要額 = 毎月のランニングコスト×6か月分 - 現在の手元資金
■次に、それが現実的な金額かどうか検討する
基本的には、その算出された借入必要額で融資申し込みをすることになりますが、
それが融資に通るだけの現実的な金額になっているかは一度考えてみた方が良いと思います。
まず、融資は使う制度によって、融資の上限があります。
例えば、創業間もない方が利用する新創業融資制度であれば、運転資金の場合、上限は1,500万となっています。
各制度の上限を見極めましょう。
当然ながら、申込額が高ければ高いほど審査は厳しくなります。必要に応じて説明書類を添付するなどの対応が必要です。
次に、自己資金との比率も考えてみる必要があります。
例えば、前述の新創業融資制度であれば、融資額の10分の1(10%)の自己資金が要件となっています。
ただし、現実に10%で認められる場合は稀で、実際には30~40%は必要なようです。
この場合の自己資金とは、基本的には個人事業主であれば事業に投下できるご自身の資金額であり、法人であれば資本金を指します。
もちろん足りないから即NGというわけではなく、審査が厳しくなるということですので、こちらも必要に応じて説明書類を添付するなどの対応が必要です。
これらの条件も考慮して、申し込む融資金額が現実的なものかどうか今一度見直してみましょう。
ただし、これらは、必要に応じてメインでなくサブ口座を解説することで対応できると私は考えるため、敢えて外しています。
■まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、融資の借入額の判断基準について解説させて頂きました。
必要な借入額を決める際の参考になれば嬉しいです!
では、今回のまとめです。
今回のまとめ
①まずは、借入必要額を決める
借入必要額 = 毎月のランニングコスト×6か月分 - 現在の手元資金
②次に、それが現実的な金額か検討する
・融資の限度額の観点
・自己資金の観点
この記事を書いた人
あさがお税理士事務所 代表税理士 伊藤貴文
税理士 / 栃木出身 / 埼玉在住 / 東京勤務 / 3児の父