【初心者向け】まだ間に合う!令和3年分確定申告提出前のチェックリスト10選
税理士のあさがおです。
個人事業主の方にとっては、年に一度の大仕事の期間となってきました。
今回の2021年分(令和3年分)は一律の延長はなく、
基本路線は原則通り、2月16日~3月15日が所得税確定申告の受付期間となっております。
(※新型コロナウイルスによる影響を受けた場合の個別延長手続きは、こちら)
今回は、個人事業主の方が確定申告を提出する前に確認しておきたい点を10個にまとめました。
どれも間違えやすかったり、間違えるともったいないものばかりです。
2021年分として最新の改正項目も反映しておりますので、
今年版の提出前最後のチェックリストとして活用して頂ければ幸いです!
★ こんな人に役立ちます ☆
- 個人事業主の方(特に事業所得で青色申告で記帳されている方)
- 確定申告を間違えず、損なく行いたい方
- 最新の改正を踏まえて確認したい方
あっ、確定申告書B表についてですか!
会計ソフト使っていると、青色申告決算書類とこのB表が一気に出力されてくるから違いがわからなくなっちゃいますが…💦
B表は、事業に加えて個人の臨時収入や控除を書いて税金を計算するものですよね。
おろそかにしないで、きちんとチェックしたいです!
実際の確定申告書の書面を確認しながら
チェックしていきましょう!
最初はこちらの【収入金額等・所得金額等】の部分です。
一つ目のチェック項目は、売上や給付金が漏れていませんか?です。
最も基本的だけど最も大切な項目を最初に持ってきました。
売上で言えば、「2021年中に仕事は完了しているが、請求が2022年になったもの」は、2021年の売上に入れる必要があります。
支払調書ではなく、ご自身の請求の内容を足し算して、今一度チェックしてみましょう。
また、2021年では一時支援金や月次支援金等の給付金を受給している個人事業主もいるかと思われます。
それらの記載が将来の給付金の判定の根拠書類になる可能性があるため、そのような雑収入の記載もしっかりチェックしましょう。
青色申告の場合、下記のように青色決算書を記載し、当該金額を確定申告書の第一表に転記します。
次のチェック項目は、事業用資産の売却です。
代表的な例は事業用の車両の売却(買い替え)です。
仕訳例を検索すると、売却価額と簿価との差額を売却益(売却損)とする旨の仕訳例が出てきますが、
これは法人の場合は正解ですが、個人事業主の場合は間違いです。
この場合、固定資産売却益(損)ではなく事業主借(貸)にした上で、
確定申告書にて譲渡所得(車両の場合、総合譲渡)として別計算するのが正解です。
なお、あくまで事業用が前提なので、プライベート用の車両で確定申告書・決算書に載せていないもの(生活用財産の譲渡)は、
今回の話には無関係ですのでご安心ください。
また、消費税の課税事業者の場合は、下取り対価を課税売上高に含めることも忘れずにチェックしておきましょう。
③一時所得
次のチェック項目は、保険の満期保険金等です。
生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等、保険金の入金のうち一部のものについては、一時所得として取り扱われます。
単純な保険料の戻り等の紛らわしいものや、一時所得以外になるものもありますが、
保険会社から送られて明細などに「〇〇所得の対象として確定申告が必要です」という記載がある場合があります。
そのような入金を、「雑収入」あるいは「事業主借」としてしまっていないかをチェックしましょう。
特別控除として50万の枠が用意されていますので、結果的に影響なかったとなる場合も多いですが、
多額の保険一時金があった場合は即申告漏れになりますので注意しましょう。
うぅ~ん💦 保険金は本当に難しいんですよね…。
目安としては、50万円以上の保険一時金を受け取ったかどうか。
まずはそこだけ注意して思い出してみることですかね。。
次のチェック項目は、今回の令和3年分からの改正項目です。
どのような方法で帳簿付けをしているかを番号で記載する欄が申告書上に新設されました。
青色申告をしているほとんどの方は、会計ソフトを使い、通常の形式で帳簿付けをしているかと思います。
その場合は「2」という番号の記載になります。詳しくは、下記のマニュアルをご覧ください。
わたしは 会計ソフトのfreee で確定申告書作ってます。
ちゃんと「2」って記入されてました!
あと少しで半分です!
次はこちらの【所得から差し引かれる金額(所得控除)】の部分になります。
次のチェック項目は、所得控除の名義です。
所得控除は、本人名義のものを本人が支払っているのが基本です。
ただ一部、本人以外の名義のものを本人が支払っていても本人の控除として認められるものがあります。
各種控除と名義を整理した図がこちらです。
生計一親族とは、一言で言えばお財布が一緒になっている親族です。
同居している配偶者や仕送りしている子供をイメージしてもらえれば良いと思います。
(詳しく知りたい方は、こちら)
この図からはいくつかのことがわかります。
例えば、生計一の親族の分であれば、あなたが社会保険料や医療費を支払えばあなたの控除として認められるということです。
意外な部分・勘違いしがちな部分は、色塗りした部分。
まずは赤色の部分です。
生命保険料控除は、生計別の親族名義のものを支払っても控除として認められます。
ただし、生命保険の内容によっては贈与になるものもあるので、その場合はお勧めはしません。
次に青色の部分です。
寄附金控除は、生計一親族名義のものを支払っても控除として認められないので注意しましょう。
例えば妻名義のふるさと納税を夫の方で所得控除する場合が該当します(詳しくはこちら)。
その他、よくある間違いとしては、地震保険料控除には、自分が住んでいる建物等という要件もあります。
したがって、別荘や空き家、あるいは貸している不動産の分は控除として認められませんので注意しましょう。
また、そもそもの大前提ですが、本人が支払っていることが必要です。
つまり、親族の口座・クレジットカード引落になっているものはそもそも認められませんので注意が必要です。
場合によっては、引落先や納付書払いに切り替えた方が良い場合もありますね。
この表はわかりやすいですね!
寄付金控除って言われると「?」ですが、ふるさと納税と言われるとピンときます!
次のチェック項目は、医療費控除です。
医療費控除は、「❶実際に支払った医療費の合計額 - ❷保険金などで補てんされる金額 - ❸10万円」で計算します。
まずは❶です。医療費控除の対象になる医療費を確認しましょう。
忘れがちなのは、通院にかかった交通費も医療費控除の対象になること。
ただし、電車、バス代が想定されているため、やむを得ない場合や特別な事情がある場合を除いてタクシー代、駐車料は認められません。
また、医療費控除は治療を前提としているため、予防や美容目的のものも認められません。
よって、インフルエンザ予防接種や結果が正常だった場合の健康診断、美容目的の歯の矯正やマッサージも認められません。
次に❷です。具体的には、生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などが挙げられます。
これらの保険金を差し引くのは忘れがちで、未確定でも見込みで入れることとなっているので注意しましょう(詳しくはこちら)。
最後は❸です。基本的には10万が足切りラインですが、例外があるのをご存知ですか?
その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額を使ってもよいことになっているため、
人や年度によっては「医療費=10万以上」ではない場合もあるので注意しましょう。
チェックリストも折り返し。あと少し頑張りましょう!
次はこちら【税金の計算】の部分です。
次のチェック項目は、予定納税です。
前年の納税額がある程度大きかった場合、予定納税を支払っていることがあります。
予定納税の通帳書、あるいは送られてくる確定申告書用紙に金額が記載されていますが、
肝心のe-taxに入れ忘れると、せっかくの先払いが控除されないという悲劇が起きてしまいます。
予定納税額(第1期分・第2期分)がある場合、7月末と11月末が期限で2回来ているかと思います。
今一度チェックしましょう。
確定申告書は税金を計算して終わり...ではありません。
こちらの【その他】の部分にも注意が必要です!
次のチェック項目は、青色申告特別控除です。
こちらは、税理士でもうっかりするとミスしやすい部分になります。
青色申告特別控除の満額の65万を取る場合、e-taxが前提となる旨の改正が令和2年分よりなされています(詳しくは、こちら)。
よって、紙で郵送して提出する場合、10万減った55万しか青色申告特別控除を受けられませんので注意です(電子帳簿保存がある場合を除く。)。
青色申告特別控除には、記帳状況によって、65万・55万・10万の3パターンがあるという理解が大切になります。
私は郵送で送る予定なので、55万円控除ですね。
あ、そもそも赤字だったので関係ないか…💦。
いよいよラスト2つです!
【第二表】のこれらの部分も記載漏れが多いので注意しましょう!
次のチェック項目は、住民税上の扶養親族です。
所得税法での扶養と住民税での扶養は異なります。
代表的な例で言えば、16歳万未満の子供は所得税上は扶養控除の対象外ですが、住民税上は扶養控除の対象になります。
所得税で扶養控除の対象にならないからと言って、記載を忘れると住民税で損することに繋がってしまいます。
なおその場合、第一表ではなく第二表に記載しますので注意しましょう(具体的な記載方法については、こちら)。
最後のチェック項目は、近年賑わいを見せているふるさと納税です。
ふるさと納税も第二表で記載漏れが多い代表格です。
折角ふるさと納税したのに税額控除がなければ、それこそ満額の寄付で終わってしまいます。
ふるさと納税の支払先の自治体を忘れずに記載しましょう(具体的な記載方法の例は、こちら)。
以上で10個です!お疲れ様です。
これを見て[間違えた!]となってしまった方でも大丈夫。
まだ間に合う方法があります!
期限内(2/16-3/15)であれば、後で出した確定申告書が上書きされます。
念のため後出しの方に「訂正申告」との記載しておきましょう。
へぇ~☆ 上書きされるんですね! これは初耳。
郵送で出される方は第一表の一番上の余白に赤書きをし、E-taxの方はこちらを参考にしてください。
期限を過ぎてしまうと、修正申告や更正の請求として手続きが複雑になります。
ぜひ、今回の10個のチェックリストをもとに今一度確定申告の見直しをして頂ければ幸いです!