2024年から義務化!電子帳簿保存法(電子取引)はどう対応すればよい?
税理士のあさがおです。インボイスの準備に忙しいこの時期、
実は2024年1月からもう一つ大きな改正が予定されているのをご存知でしょうか?
今回は、来年1月から義務化になる電子帳簿保存法(電子取引)についての考察記事を書いてみたいと思います。
目次
まずは、概要を理解!~任意のものと義務のもの
電子帳簿保存法と言っても、実は3つの内容があります。
このうち、今回は③の電子取引について解説します。
義務になるもの=対応が必要で重要なもの です!
何をすれば良いのか?基本的なルールを理解しよう
では、義務になる③電子取引について、具体的に何をすれば良いのか。
一言で言えば、『電子データ』を『一定のルール』で『保存』する必要があります!
資料の『保存』の改正ということですね!
例えば、AMAZONの領収書。
こう言ったネットでダウンロードする領収書は、これまではダウンロードしてから紙で印刷して『保存』していてもOKでした。
ただ、これからはそれだとダメで、『一定のルール』で『保存』する必要がある、ということです。
ちなみに、領収書だけでなく、請求書や見積書も該当します。
(代表例)
- 売上の請求書を紙ではなくメール添付でお客さんに送っている。
- ネット決済した経費の領収書(AMAZON、楽天など)がある。
⇒電子取引として、『一定のルール』で『保存』する必要があります!
ちなみに誤解が多い部分ですが、
お店で直接もらう領収書はこれまで通りそのまま紙保存でOKです。
もちろんクレジットカード払いでもOKです!
しかし、ただ『保存』すれば良いわけではないのが厄介なところ。
『一定のルール』で『保存』する必要があります。
では、『一定のルール』について、見ていきましょう。
大きく分けてこの3つの要件が必要とされています。
この中で一番大変なのは、2つ目の検索要件です。
引用:国税庁HP『電子データの保存方法をご確認ください』0021011-068.pdf (nta.go.jp)
えっ、めちゃくちゃ大変そう・・・。
なんでこんな改正ができたの?
そうなんです。税理士によってはインボイスより大変という人もいるくらいで...
この改正は、残念ながらペーパーレスを進めることではなく、税務調査を効率的に行う目的で出来てます。なので、検索要件が義務付けられているわけなのです。
しかも、規則的なファイル名を付す方法(PDFのファイル名に日付・金額・取引先を記入する方法)だけだと、ルールを完全には満たすことにはならないのです。
どういうことか、次のフローチャートでご説明します。
引用:国税庁HP『電子取引データの保存方法をご確認ください【令和6年1月以降用】(令和5年7月)(PDF/722KB)』
[1]~[3]は、先程出てきた3つの要件に対応するので、YESで右に進めます。
問題は、その次の[4]です。
こちらのフローチャート[4]にある通り、
・日付または金額について、範囲を指定した検索ができる
・『日付・金額・取引先』のうち2つ以上の任意項目を組み合わせて検索できる
この両方が求められるんですね。
規則的なファイル名を付す方法(PDFのファイル名に日付・金額・取引先を記入する方法)だとこれらの検索ができないので、税務職員からダウンロードの求めがあった場合には応じないといけません。
何か色々と調べられそうで抵抗ありますね...。
では、どう対応したら良いんでしょうか?
具体的な対応策は、3つ!
ではどう対応すれば良いのでしょうか。
簡単に言えば、選択肢は3つだと思います。
①自分でExcel検索簿を作る方法で、きちんと対応する
②市販ソフトを使う方法で、きちんと対応する
③とりあえず保存だけしておいて、税務職員からのダウンロードを認める
・・・。
一つ一つ解説をお願いします!
①『自分でExcel検索簿を作る方法で、きちんと対応する』方法
・日付または金額について、範囲を指定した検索ができる
・『日付・金額・取引先』のうち2つ以上の任意項目を組み合わせて検索できる
この両方を満たすExcel検索簿が作れれば、電子帳簿保存法(電子取引)に対応できていることになります。
◆例 ・・・ Excel検索簿のサンプル
具体的なExcel検索簿の作り方は、下記の記事を参考になさってください。
①の方法のメリット・デメリット
・メリット
・税務職員からのダウンロードの求めに応じなくてよい
・Excelで足りるため、費用がかからない
・デメリット
・Excel検索簿を作る手間がかかる
②『市販ソフトを使う方法で、きちんと対応する』方法
電子帳簿保存法(電子取引)に対応したソフトがあります。
例えば、マネーフォワードやfreeeの会計ソフトユーザーであれば、基本的に無料でサービスが付いています。
これらのサービスに領収書データをアップロードすると、検索要件で求められる日付・金額・取引先を自動読取してくれるので効率良く対応できます。
会計ソフトで対応する場合(例)
・マネーフォワードのクラウドbox
・freeeのファイルボックス
これら会計ソフト以外でも、独自に電子帳簿保存法(電子取引)に対応した市販のソフトもあるようです。
②の方法のメリット・デメリット
・メリット
・税務職員からのダウンロードの求めに応じなくてよい
・デメリット
・システムを使うとはいえ、ある程度は手間がかかる
・システムによっては費用がかかる
③『とりあえず保存だけしておいて、税務職員からのダウンロードを認める』方法
市販ソフトを利用しても、結構大変そう。
何か、免除措置はないの?
あります!
でも、注意点もあります。
多くの方は、この免除措置が使えるように思います。
ただ、税務職員からのダウンロードには応じなくてはなりません。
③の方法のメリット・デメリット
・メリット
・検索要件などを整える必要がないため、とりあえず保存だけすれば良く手間がかからない
・デメリット
・税務職員からのダウンロードの求めに応じなければならない
結論
3つの方法を、一言で言えばこうです。
それぞれのメリットとデメリットを考慮して、自分に合った方法はどれか検討してみてください。
参考にして頂ければ幸いです。
この記事を書いた人
あさがお税理士事務所 代表税理士 伊藤貴文
税理士 / 栃木出身 / 埼玉在住 / 東京勤務 / 3児の父