節税の考え方「税率差異の分かれ目を押さえる」(法人の場合)

■税率構造(法人の場合)

法人の実効税率と所得・利益の構造図 [縦:実効税率 横:所得・利益]

上記図の通り、法人の場合の実効税率(法人税+法人事業税+都道府県民税)は、

・400万までの部分が約21.4%
・400~800万までの部分が約23.2%
・800万からの部分が35.6%

という税率構造になっています。(※法人住民税の均等割である約7万円を除く)

見方としてはこうです。
赤枠部分の儲けのうち、赤の塗りつぶし部分だけの税金がかかり、青の塗りつぶし部分だけ手元に資金を残せた」ということです。

数値で言うと、所得・利益が200万なので、税金は200万×21.4%で約43万になります(上記図の赤の塗りつぶし部分)。
逆に、200万の儲けのうち、200万×79.6%の約157万円は手元に残せています(上記図の青の塗りつぶし部分)。

つまり、税金とは、「事業の利益を手元に残すために必要なコスト」だということが言えます。
「事業の儲けを手元に残すために、200万円のうち43万円だけ必要なコストを支払い、157万円を残すことができた」ということです。

■節税を考える上でのポイント

次に、節税を考える上で抑えるべきポイントについてお話します。

法人の場合、注目したいのは、800万のラインです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 法人実効税率1000万数値例-1.png
所得1000万の場合の税金構成

上記図を見てお分かりの通り、所得・利益400万の壁は僅か1.8%しか差はありませんが、800万の壁は約12.4%と大きく変わってきます。

稀に勘違いされる方がいるので協調しますが、「所得・利益が800万超えたら800万全体に対して35.6%がかかる」わけではありません。
あくまで飛び出た部分(上記図でいう「割増部分」)についてだけ、割り増し分(12.4%)の税金がかかるということです。

上記図の1000万円の所得・利益が出た場合の数値例で言うと、
86万(0~400万部分)+93万(400~800万部分)+{46万+割増部分25万(800~1000万部分)}=250万円が税金になります。
すなわち税率(実効税率)は、250万÷800万=31.3%ということになります。

つまり、法人の場合の節税において抑えるべきポイントは、税率にして約12%上がる割増部分をいかに調整するかだと分かって頂けたかと思います。


■節税の効果と留意点

所得・利益1000万に対して200万の節税対策を行った場合」の数値例を見てみましょう。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 法人実効税率節税対策.png
所得1000万に対して200万の節税対策を行った場合の税金構成

この場合、所得が全て赤枠部分である800万に収まるため、86万+93万=179万円が税金になります。
すなわち税率(実効税率)は、以前の31.3%から、179万÷800万=22.3%に下げることができました。

200万の支出をして節税対策を行うことで、250万-179万71万の節税効果があった」ということです。

しかしながら一方で、200万のキャッシュが手元から消えています。これは重要な視点です。

つまり、税率的に効果的に税金を減らすことを考えるのと同時に、目先のキャッシュの消失に見合う支出だったのかという投資と回収の視点も忘れてはならないということです。

逆の見方をすれば、所得・利益0~800万の範囲内は、税率的には、ほぼ有利・不利はないわけで、その範囲内である限りは手元に残せる割合は変わらないため、過度な節税対策は不要だとも言えます。


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