税務調査当日の一般的なスケジュール

■税務調査当日の一般的スケジュール

 □税務調査初日の一般的スケジュール

 大きく分けると、初日の一般的なスケジュールは、以下のようになります。

・10:00  来場、挨拶
①10:00-12:00  社長ヒアリング          
②12:00-13:00  昼休憩        
③13:00-16:00頃 書類チェック(元帳や請求書など)

その後は状況に応じて、2日目の日程調整や追加資料提出などの事後対応へ移行します。

以下、①・②・③について内容を解説します。

社長ヒアリング(10:00-12:00)

 ⇒ 調査官の狙い:午後以降の帳簿調査の手掛かりを探る

【ポイント】 簡潔に答え、不確実な回答はしない 
 
※社長の回答=結論になるため、わからないこと「後で確認する」でOK
嘘は絶対に付かない

ヒアリング内容は、大きく4点に分類出来ます。
⇒会社概要、売上、原価、経費

※よく聞かれることリスト

①概要
・業種は?(複数の場合、割合は?)
・現場(エリア)は?
・業務を行う方は?(自社社員or外注)
・組織形態は?
・社長の趣味は? 【調査官の視点:私的経費混入の可能性】

②売上について
主な得意先とその割合は?
・業務の受注から入金までの流れは?
発注:発注方法は?(電話orメールorFAX)
見積:見積書の作成者は?(社長or社員)
着工~完了:着工~完了までの期間は?(短期or長期) 【調査官の視点:長いと仕掛計上漏れの可能性高】
検収:完了後の検収方法は? 【調査官の視点:完成の認識基準の確認】
請求:請求書の作成者は?(社長or社員) 【調査官の視点:売上計上漏れの可能性】
入金:締日から入金までの期間(入金サイト)は?入金方法は?(現金or振込or手形)現金の場合、領収書控は? 【調査官の視点:現金が多いと売上除外の可能性高】
・作業日報は?
・業種特有の売上 【調査官の視点:仕掛の把握方法の検討】
・廃材等の雑収入は?(建設業) 【調査官の視点:売上計上漏れの可能性】
・まかない等の家事消費は?(飲食業)  【調査官の視点:売上計上漏れの可能性】

③仕入外注について
主な仕入先とその割合は?
・材料の注文時点はどの時点? 【調査官の視点:棚卸計上漏れの可能性】            
在庫の保管場所は? 【調査官の視点:棚卸計上漏れの可能性】
・在庫の量は? 【調査官の視点:棚卸計上漏れの可能性】
主な外注先とその割合は?
・業務の依頼から支払までの流れは?
・外注の締日から支払までの期間(支払サイト)は?
・支払方法は? (現金or振込or手形)
・丸投げの場合の管理方法と完了報告は? 【調査官の視点:架空外注費の可能性】
・業種特有の仕入や外注
・個人外注への報酬源泉は?(クリエイティブ系)  調査官の視点:源泉控除漏れの可能性】

④経費について
・親族役員や従業員の勤務実態や金額算定根拠は? 【調査官の視点:過大給与の可能性】
・交際費における贈答品の相手先は?   
・変化の大きい勘定科目の原因は?   
・社員旅行がある場合、参加者や金額等の工程表は?
・車両や備品などの使用開始日は?

【ポイント】 それぞれに意図があるので、当該調査官の視点を理解する!

お昼休憩(12:00-13:00)

⇒ 調査官の狙い:午後以降の帳簿調査の作戦タイム

※午前中知りえた情報から、午後の狙いを定める

【ポイント】 聞かれた質問から逆に見られそうな点を想定し、対応を整理する! 
 
       

③書類チェック(13:00-16:00頃)

⇒ 調査官の狙い:目星を付けた箇所の帳簿や原資料のチェック
   
※総勘定元帳と領収書・請求書等の照合、疑問点の確認が行われます。

【ポイント❶】 売上等の重点部分追徴課税し易い部分を固めておく!

※税務調査は時間が限られています。
・効果的かつ効率的な調査の観点から、売上という重点部分はもちろんのこと、
またぎ仕掛、現金、交際費、福利厚生費など追徴課税され易い部分については、日々の処理から気を付けておく必要があります。
・また、説明を補完しうる書類などはすぐ提示できるような状態に準備しておきましょう。

【ポイント❷】 総勘定元帳の作り方気を配る!

※調査官はいきなり領収書や請求書の提示を依頼するわけではありません。
総勘定元帳をみて、金額の大小や頻度等のアタリを付けてから依頼します。
結果として、元帳の作り方は地味ながら意外と大切なものになります。
詳しければ良いと言う訳でもなく、ここの深度・感度は各税理士によっても異なる非常にテクニカルな部分になります。


【ポイント❸】 社長以外の同席者の対応にも気を配る!

午前中の社長の発言午後の社員矛盾がある場合、より詳しいヒアリングが行われる可能性が高まります。
わからないや不明確なことは「後で確認する」に留めて構いません。
また、疑われたり誤解を生むような可能性があるものは予め片付けておいた方が良いでしょう。

ポイントを3つ程挙げましたが、❶と❷は事前準備、つまり調査当日ではなく、それまでの日々の処理の中で求められてくるものになります。

日々の会計・税務処理はもちろんのこと、その前段階における経営判断の段階においても、税務調査でのリスクを鑑みながら意思決定を行うことが求められます。


以上が、税務調査当日(初日)の一般的なスケジュールになります。

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