領収書は結局どれくらい保管しておけばよいの?

目次

■はじめに

創業者から3年に一度は聞かれる定番の質問です。

この質問、面白いことに10人に聞いたら10人バラバラの答えが返ってくる可能性があります。
どうしてかと言うと、規定されている法律や制度によって若干の違いがあるからなのですね。

もちろんずっと取って置ければ理想なのですが、そうもいかないというのが現実だと思います。

今回は、この辺りの微妙なニュアンスも含め、領収書を結局どれくらい取って置けば実際問題がないのかについて、切り込んでみたいと思います。

■保管期限を考える上での3つの観点

結論から言うと、【基本7年間最低5年間+可能なら10年間】ということになります。

どうしてこういう書き方になったのか説明します。

中小企業経営を考えると、領収書をどれくらい取って置けばよいのかについては、主に以下のような3つの観点から考えることになります。

①会社法の観点
 結論【10年

領収書は、「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」に含まれるため、10年間保管

②税法の観点
 結論【基本7年

・法人税(法人)
 ・7年(繰越欠損金がある場合は現行10年)
No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法|国税庁 (nta.go.jp)
・所得税(個人事業)
 ・7年(白色申告は一部5年)
記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁 (nta.go.jp)
・消費税(法人・個人共通)
 ・7年(帳簿記載を条件に一部5年)
No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存|国税庁 (nta.go.jp)  

③税務調査の観点
 結論【基本3年、問題あれば5年、最大で7年

・基本は3年
 ・税務調査で最初の事前通知で準備を求められるのは3年間になります。
・問題があれば5年
 ・同様の非違が疑われることとなつた場合(国税通則法70①)に5年間になります。
 ※3期分見て売上が漏れている取引先があり、その前にも同様の事実がある場合等を言います。
・最大で7年(時効)
 ・偽りその他不正な行為があった場合(国税通則法70④)に最大で7年間になります。
 ※売上を意図的に抜いていた等の場合を言います。


■結局何年取って置けばよいのか

①〜③の3つの観点を見て頂いてわかった通り、理想はやはり10年です。
ただ実務的にそれだけ領収書や請求書、通帳等を取っておくのは、スペースの問題など難しい場合が多いはず。

私見ですが、中小企業を前提にして①〜③のどこを重視すべきかを考えると、通常①<②<③だと思います。
となれば7年が基本だとわかるはずです。

私も飛び込みの税務調査で、何度か調査官と何年まで遡及するのか(5年か7年か)の交渉に何度か立会った経験がありますが、7年まで遡及するのは、売上を意図的に抜いていた場合等のよっぽどの場合です(ペナルティー含めて相当な金額になり得ますので、売上を抜く行為だけは絶対に止めたほうが良いです。)。

逆に言うと、そこまでの不正がなければ、ほとんどの場合3-5年で済むということです。
その意味でも個人的には最低でも5年間は保管が必要だと思っています。自己責任においてそれ以上古いものを捨てるのであれば、スキャンでデータ保存しておく等のある程度の対処も必要だと思います。

以上から、結論【基本7年間最低5年間+可能なら10年間】ということになります。

なお、今回は、基本的に「領収書」を前提に書いてますので、例えば10年前に契約したけど今も期限が続いているような「契約書」などは、当然保管が必要ですので、その点だけご注意頂けたらと思います。

■保管期間の計算方法

ここは誤解が多いので、補足しておきます。

いつの時点から●年かというお話です。
ここを間違えると保管すべき期間が変わってきますので注意が必要です。

(誤り) 領収書の日付〜●年
(正解) 領収書の日付に含まれる期間の申告期限〜●年

言葉だけだと分かりづらいので、具体例を見てみましょう。
個人と法人で、飲食店の領収書を7年間保管する場合を例に取ってみます。

例1) 個人事業の2015年7月1日付の飲食店の領収書

・2015.7.1に含まれる期間=2015.1.1-2015.12.31
→その期間の申告期限=2016.3.15(消費税2016.3.31)
→そこから7年=2023.3.15(消費税2023.3.31)⇒これが保管期限  

例2) 3月決算の法人の2015年7月1日付の飲食店の領収書

・2015.7.1に含まれる期間=2015.4.1-2016.3.31
→その期間の申告期限=2016.5.31
→そこから7年=2023.5.31⇒これが保管期限

■保管方法

こちらもたまに質問を受けるので記載しておきます。

原則は、アナログですが出力した紙での保存になります。
一部規定のマイクロフィルムという方法や、税務署への申請・承認を前提とした電子帳票という方法もありますが、留意点が多く、創業者には見た目以上にハードルが高いのが現状です。

またその保管方法ですが、先ほど計算方法でみたように、基本的には期の単位でまとめた方が良いでしょう。
相当規模でない限りは、1期分は、大きな紙袋1つに入るはずです。散らばらないように紙袋や段ボールに梱包し、見えるところに「第●期分」と書いておきましょう。

その中身ですが、月別or科目別にしておくことをお勧めします。要は、税務調査が入ったときや取引先から確認があったときに、ある程度スムーズに出せる準備をしておきましょうということです。

量にもよりますが、請求書はバインダー、領収書はクリアホルダーで、ファイルに月別のインデックスを付けてまとめて置くのが一番スッキリしてよいような気がしています。その月別のクリアホルダーのポケットに、科目ごとにホチキス止めした領収書を入れます。
見やすいように領収書を紙に糊付けされる方もおりますが、かさばるのと手間がかかるように思います。

結局この辺りは好みなので、自分に合ったやり方を見つけて継続して頂ければと思います。

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